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ノルウェーのヴィンテージ・デザインを回顧する展覧会『ノルウェージャン・アイコンズ』が、
1月11日から2月3日にかけて首都オスロにて開催され、内外で大きな話題となっています。
その海外展がこの6月に、東京でも開催されることになりました。

文=山岸みすず text by Misuzu Yamagishi 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori

 

“ヴィンテージ”というテーマを掲げての大規模なデザイン展は、地元のノルウェーでも初の試みだったようです。オープニング初日には、2000人を超える人々が来場したといいますから、その注目度も伺い知れます。主催は、オスロの老舗「カフェ フグレン」と、アート・オークション会社の「ブロムクヴィスト」(Blomqvist)。フグレンと言えば、小誌でもお馴染み、コーヒーとカクテルそしてヴィンテージ家具を融合し、ノルウェーのライフスタイルを発信し続けるカフェです。昨年、渋谷に初の海外店をオープンさせ、東京にノルウェー・カフェ旋風を巻き起こしているのはご存知の通り。フグレンは、この展示会を開催するにあたり、珠玉の銘品の数々を揃え、240ページものカタログまで制作しています。ノルウェーデザインといえば、これまでスウェーデンやデンマーク、フィンランドの陰に隠れ、あまり注目を浴びることがありませんでした。ところが、ノルウェーのデザインは、1950年代から1960年代に革新的なデザインを次々と産み出し、北欧デザインに大きな影響を与えてきたのです。今回の『ノルウェージャン・アイコンズ』展では、ノルウェーのヴィンテージ・デザインを通して、そのデザイン背景や知られざる魅力を再発見する好機となりました。しかも、展示された作品は、来場者が実際に購入するとあって、来場者の関心はさらに昂りました。そして、この展示会は6月に東京で、10月にはニューヨークで開催される予定なのです。またしても、知られざるノルウェーの魅力を再発見できる好機になりそうです。

オープニング初日には2000人を超える人々が集まった。

 

展示されたのは1940〜1975年にかけての代表的なデザイン(デザイン・アイコン)。
家具、食器、絵画と多岐に及ぶヴィンテージデザインが集結。

 

ファンクでダンサブルな音に美声をのせて、日本の音楽ファンのハートを射止めること必至。
ノルウェーの実力派ミュージシャン、その魅力とは?。

文=山岸みすず text by Misuzu Yamagishi 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori

 

端正な容姿にラフな装い、気さくな雰囲気で語るオーレ・ブールードは、長いキャリアを積んだ実力派ミュージシャン。5歳から歌い始め、16歳でプロの音楽家として活動を開始、現在36歳。比類ないキャリアを結実させたベストアルバム発売に合わせ、日本でも本格的な活動をすべく初来日を果たしました。ノルウェーを拠点に世界各地でライブ活動する彼の歌曲はすべて英語で、AOR(Adult Oriented Rock)黄金期を想わせるサウンドの完成度は高く、幼少期からゴスペルを歌って鍛えたビロードのような美声が繊細かつパワフルで、心地よく耳に響きます。「僕は米国西海岸の音楽やソウル、ファンク、ジャズに影響を受けて音を創っている。ノルウェー人は英米の音楽を聴いて育つし、英語で歌うのは自然なことなんだ」。90年代にはメタルバンドに在籍し、02年にソロのシンガー&ギタリストとして活動を開始。ソロになって自分のルーツを探った時、自然にAORやファンクに行きついたといいます。「新作のベストアルバムは未発表曲も含めた日本向けの特別盤。耳の肥えた日本のファンに気に入ってもらえ、日本でライブすることを夢見ているよ」。彼が住むのはオスロ郊外のスターバン。「オスロの南にある小さな町で、海もすぐ近く。避暑地としても人気があり、リラックスできる穏やかで美しい町。ぜひ訪ねて欲しい場所のひとつ。北のロフォーテンもお勧めだね、断崖が海に続く光景は圧巻だから。ノルウェー人は最初とっつきにくい印象だけれど、よく知ればとても友好的な人々だよ」、とお勧めの場所と国民性も紹介してくれました。独自の磨きあげたサウンドでノルウェーと日本に音の橋を掛けるオーレさん、次回はライブで日本のファンを魅了することでしょう。

◎Ole Børud 『THE BEST』
オーレ・ブールード『ザ・ベスト』
最高のAORを聞かせる北欧の星、オーレ・ブールードの新曲を含むこれまでの

名曲を集めたベストアルバム。
4月3日発売予定。
(VIA-0100 ヴィレッジ・アゲイン)¥1,980

 

著書が続々と出版され、世界各国でファンを魅了しているノルウェーのニット作家のユニット、アルネ&カルロス。
先ごろ、そのふたりが揃って来日し、イベントや講演など精力的な活動を行いました。

文=山岸みすず text by Misuzu Yamagishi 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori

 

ファッション・デザイナーから、ニットの作家へと方向転換をしたアルネ&カルロス。現在は、活動の拠点をアトリエ兼自宅のある、ベルゲン郊外の静かな湖畔へと移し、本格的な創作活動を続けています。毛糸玉の作品群などは、作品集としてもまとめられています。今では、英語版にも翻訳されて世界中で発売され、既に多くのファンを獲得しています。創作活動の合間に、国内外の講演やデモンストレーションにも精力的に出かけ、その活動は各国のメディアやYouTubeなどのメディアでも配信されています。また、2012年末には、久しぶりの来日も果たし、ノルウェー王国大使館をはじめ、多くの講演活動も行いました。その彼らの最新のアート活動は、ご覧のようなニットドールつくりです。彼らがつくるドールは、それぞれキャラクターが設定されていて、彼ら自身も常に持ち歩いているのだそうです。先ごろ、その作品や編み方が掲載された作品集も発表され、ファンを熱狂させています。折しも、ニューヨークなどでは編み物に熱中する毛糸玉男子が増加中。ノルウェーからまた、新たなブームが生まれそうな兆しです。今後の彼らの活動に、ますます目が離せません。

各国で開催しているワークショップは、いつも大盛況。

http://www.arne-carlos.com/