StyleNorwayWebMagazine 【スタイルノルウェー】

 

気がつけばミッドウインター。街は、早くもイルミーションに溢れます。
でも、LEDライトって何だか寒々しいねって思う人、けっこういると思うのです。
そんな時は、ノルウェー風にキャンドル。寒い夜は、キュッパもおどるキャンドル。

文=鶴岡咲子 text by Sakiko Tsuruoka 写真=堀裕二 photograph by Yuji Hori

 

キュッキュッ、もきゅもきゅ。そんな音が聞こえてきそうな、ノルウェーの絵本から生まれた丸太の男の子、KUBBE(キュッパ)。毎月2回、ネットで配信されているショートアニメーション(http://anime.kubbe.jp)は、もちろんご存知ですよね?キュッパの魅力は、思わず微笑んでしまう、予想ができないその動き。初めてご覧になる方はきっと、その世界観が日本人の私たちの感覚にとても近いことに気付くでしょう。そんなキュッパの新商品、くるくるキャンドルホルダーが登場です。ノルウェーでは、長く暗い冬の多くの時間を、家の中で家族や大切な人と共に過ごします。いわば、ノルウェー人はインテリアのプロフェッショナル。彼らの間で、家の中を彩るキャンドルはとても人気のアイテムです。このキャンドルは火を灯すとキュッパたちがクルクルと動き出します。彼らが運んできてくれるのは、ノルウェーの静寂と森の香り。忙しい生活の中で忘れてしまいがちな、ゆったりとした時間を楽しむ感覚を呼び覚ましてくれます。冷え込みそうなこの冬、キュッパのキャンドルを眺めて、ノルウェーに思いを馳せてみてはいかがですか?

KUBBE Candle Holder Forest

キュッパ くるくるキャンドルホルダー (フォレスト)
キュッパの愛らしい動きがゆらゆらした火に灯される。
写真のフォレスト(緑)の他、
タウン(黄色)、ホーム(白)も販売。 2,100円

ミュージシャンの極楽、ノルウェー。

 

日本の音楽愛好家にノルウェーの音楽文化について尋ねたならば、瞬時にグリーグとa-ha、ヤン・ガルバレクのようなよく知られた音楽家の名前をあげるだろう。しかし、現在のノルウェー音楽はかなり多種多様なため、その本質をとらえようとすると、数百の言葉を並べてもなかなか難しい。ひとつ言えるのは、ノルウェーの音楽は、「革新的」であり「トレンドセッター」であり「ユニーク」でさえあるという国際的評価を、なんとか作り上げてきたということだ。それは、芸術をサポートする巨額な文化予算によるところも多い。文化政策のお陰で、約500万人のノルウェー国民の内、結構な割合の人々が、マイナーな音楽ジャンル、例えばブラックメタル、現代音楽、ノイズ、民族音楽、即興音楽で、プロとして活躍することができている。音楽は医療や教育と同じカテゴリーにおかれている。つまり、音楽は数字を超えて、明らかにQOL(生活の質)にまで影響を及ぼしているのだ。
こうした政策が出来るのは、日本人の観点から見ると、「もちろん、ノルウェーはオイルマネーを持っているから」ということになるのだろう。しかし、このことは「ノルウェー人が“文化的免罪符”を得るためにお布施を払っている」ということにより、より複雑な問題だと思う。
シンプルに「日本人論的な回答」をするならば、結局全ての国のDNAに根ざした優先順位ということになるだろう。つまるところ、社会的平等が根付いているノルウェーでは、幼少期から創造的音楽教育を受けさせることが当たり前であり、それがノルウェーのライフスタイルの特徴なのだ。しかし、もう少し複雑な見方をすると、公的機関による「深いインフラ」サポートがあるからこそ、マイナーなアーティストは音楽を制作したり、限界集落の遠隔地にもツアーに行くことが出来るのだ。音楽は選ばれた少数の人たちのものではないというコンセンサスがあり、アクセス可能であるべきで、みんなが楽しむものなのだ。
だから、「アベノミクス」が社会に大きな変化をもたらしたいのならば、ノルウェー流の芸術へのサポート政策を「四本の矢」としてとり入れて欲しい。どのようにマイナーな音楽が提供され取り入れられ、創造性とイノベーションを刺激する社会へと変わって行くのかが分かると思う。たとえ一人当たりに行き渡るお金が少ないとしても。

 

モーテンJ.ヴァテン

マスター・オブ・フィロソフィー
マスター・オブ・アーツ
音楽家、東京インターナショナルスクール音楽主任教師